土地を所有していると、思わぬ問題に直面することがあります。中でも、収入を生むことができない土地を所有してしまった場合は、その処置に頭を悩ませることになります。例えば、道路のアクセスが悪い土地や開発が必要だが十分な資力がない土地などです。このような土地を不良資産と呼び、思い切った決断が求められます。この記事では、収入を生むことができない土地を所有してしまった際の対処法について、考えていきたいと思います。
家賃下落、地価下落で重税感
大家さんは一般的には多くの不動産を所有している地主さんであり、かつ資産家です。よって同時に固定資産税等の多額納税者でもあります。今までは、不動産の価格と比較して固定資産税等はそれほどの負担ではありませんでした。特に地価上昇時においては、負担感はあっても、資産価値の上昇がそれをはるかに上回っていたからです。
しかし、最近では固定資産税等の負担が確実に大家さんの財産を圧迫しています。家賃の減少、地価の下落、さらには過去10年を振り返ると固定資産税等の負担は地価下落時でも確実に増加してきました。ここ2~3年負担上昇はストップしましたが、重税感はずっしり重いものになっています。
土地活用で同定資産税等を軽減
固定資産税等の軽減策の第一は、土地を活用させて収入を生ませることです。更地のまま放置しておけば「金食い虫」です。個人地主さんの更地に対する固定資産税の負担は、他の所得からの税引き後で支払われるのですから、重税感は相当なものです。
第二に土地活用はできれば住居系で利用することです。住居系で土地を利用すれば、固定資産税は6分の1に、都市計画税は3分の1にそれぞれ軽減されます。収入が生まれれば、固定資産税等は経費となり、実質負担はさらに軽減されてきます。
駐車場で利用するのは簡単ですが、固定資産税等の負担はそのままです。店舗やビルも負担の軽減はありません。
大きな家屋敷に住む資産家も収入が少なければ、税負担は想像以上だと思います。
不良資産には思いきった決断を
さてここまでは、ほとんどの大家さんは知っていますよね。ところで、もし仮に収入を生むことができない土地を所有していたらどうでしょう。例えば、開発を必要とする土地、遠隔地、変形、道路付けが悪い土地のような場合です。
これらは、土地活用できない土地です。固定資産税等は、原則的には土地の面積に対して課税されますので、形状や収入の有無に無関係に課税されます。まさに金食い虫の土地になってしまっています。このまま放置すれば、永久的に経費を払い続けます。貸地も同様です。少ない地代で固定資産税等を負担すると、手取りは微々たるものです。こうした土地は、開発するか、隣地や共有者と相談、または思いきって処分するくらいの決断が必要になってきました。
これからは、収入を生むものを財産といい、収入を生まない土地または少ない土地は固定資産税等の負担をするだけの不良資産になる可能性があるのです。大家さんや地主さんは、思いきった決断が必要になってきました。
この記事は女性専用アパート「プリマ」HPのブログから転載させていただきました。
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記事を書いた人:本郷 尚
税理士・本郷尚 日本における資産税の第一人者として、相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心に活躍。各方面で講演・執筆等行い、著書も多数。株式会社タクトコンサルティング会長。