空室が出ないアパートにするための9つのプロセス

アパート経営において、常に課題となるのが「満室経営」。では、この目標を実現するために、どのようなプロセスが必要なのでしょうか。
この記事では、市場調査から始まり、空室インスペクション、そして差別化戦略まで、満室経営のためのステップを紐解いていきます。

満室経営を実現するにはどうすれば良い?

賃貸経営コンサルティング・石川龍明先生が教える、満室経営の成功のカギ。大人気セミナーのすぐに経営に活かせる実践的な内容を、テーマごとにブログ&動画で伝授します。

今回のテーマは、「満室経営のプロセス」です。

市場環境リサーチで創造家賃を設定する

満室経営のプロセスは9つです。

1つ目は、市場環境リサーチ。
新築でも建て替えでも事業計画を立てるために、必ず市場環境リサーチをします。その資料を基にして、市場環境調査診断をするのです。
これで「相場家賃」がわかります。相場家賃をベースにオーナー様と創造家賃を考え、例えば1万5,000円上げるために、何をしなければならないかという話をするのです。

入居者予備軍の目で見た空室インスペクション

2つ目が空室インスペクションです。
これはオーナー様や私たちの視点ではなくて、このアパートを借りたいと思って内覧に来た人の目で見ます。

まず見るのは外観です。建物の表側から見た外観、ファサードを見ます。そしてランドスケープ、外構工事です。ガーデニングなども見ます。
次にエントランス、共用部分ですね。セキュリティはどうなっているか。宅配ボックスも、今は当たり前です。そして共用通路、共用階段。エレベーターがあれば、エレベーターの中も見ます。そこを歩いて部屋まで行くときに、見に来た人がどう考えるか。たとえ古くてもきれいだったらいいですよね。ですから、手入れや清掃の現状をチェックします。
最後に部屋に入って、デザイン、収納、水回りを見ますが、部屋に入ったときの第一印象もチェックします。
入った途端に、嫌な臭いがしたら部屋まで上がらない人が多いです。また、玄関を開けたときに、ハエとか虫の死骸があったりしたら、部屋に入りたくないという心理も出ます。ですから内覧の予定があれば、その前に入居者予備軍の目線で回ってみて、汚れているところは掃除をする。臭いがするようなら、換気をしたり消臭剤を使ったりして、臭いを消す。今は、スプレーで一気に臭いを消すこともできます。そういうことをしておくだけで、印象が全然違います。

フォーカルポイントを探り差別化する

3つ目は、アパートメントフォーカルポイント。
今の間取りで人気がないのなら、どこを変えれば人気が出るのかをオーナー様と話し合って、3つくらいピックアップします。そしてフォーカルポイントを見つけ出すのです。
これが小冊子を作ったり、見せ場になるポップを作ったりするときに大事なところです。
要するに、「どこにでもあるアパート」を「このアパート考えているね、工夫しているね」と思ってもらえるようにするのです。
たとえ今はフォーカルポイントがなくても、作ればできる点を探すということです。

4つ目がビフォーアフター家賃設定。今の家賃とこれからの家賃です。
今の家賃が10万円だけれど、内装を変えれば1.15倍くらい、11万5,000円になる。この差は何で埋めるのか、その大義名分をきちんとつけるということです。
「壁紙をきれいにしたから」
「キッチン設備を入れ替えるから」
というような
「なんとなくきれいになった、新しくなった」
ではなくて、もう少し踏み込んだ形です。
これはフォーカルポイントとか小冊子を作るときに、大事になってきます。

この辺でオーナー様と私たちのイメージが、大まかにすり合わされてくるので、それを絵にします。
これが5つ目の、差別化されたワクワクするPLANです。これがしっかり出来上がると、いよいよ事業計画です。

間違いのない事業計画を立て、着工へ

6つ目。次に間違いのない事業計画です。
抜けはないか。数字は自分が思っている通りにクリアしているか、などです。

差別化されたプランができて、事業計画もこれでいい。準備万端にして、銀行の内諾ができたら工事契約に進みます。

7つ目は、工事契約。そしてコンサル契約です。
新築に関してはコンサル契約をしますが、1部屋1部屋行うリノベーションには基本的にコンサル契約はありません。

プリマに関しては、私がプリマの本部からコンサルをしているので、私のコンサル料はかかりません。他の場合は1から作るので若干のコンサル料はいただききますが、私の場合は、工事費の0.5から3パーセントくらい。オーナー様と話し合い、お互いに理解して決めます。コンサル業務は、立ち退きから入って、銀行を決め、間取りなどを提案して、工事中は設計の監修もします。また工事中は月に1回くらいオーナー様と会議して、良い入居者様を獲得するために小冊子を作ります。

早めのリーシングで、優良な入居者を確保

8つ目がリーシング戦略です。
新築でしたら、確認申請が出た瞬間からリーシングができますので、ホームページやSNSでの発信もします。リノベーションの場合も、工事に入るときは空いているので発信が可能です。
リーシングは、なるべく早く出したいのです。なぜかというと、優良な入居者を確保するため。もう少し踏み込んで言うと、優良な入居者様がたくさん集まって、オーナー様と審査して、良い方から順に入れていきたいからです。こういったことが大事になってくると思います。

そして最後。9つ目が、着工から引き渡し。満室経営という形になります。

今回は、満室経営までの9のプロセスについてお話ししました。

私がいつも、何度も言うことですけれど、私たちのゴールは工事した後に良い入居者を確保することです。
今回お話しした9のプロセスは、新築物件やリノベーションにはもちろん、空室対策としても有効です。空室問題に頭を悩ませるオーナー様は、前回に解説した空室対策成功4サイクルと併せて、ぜひ参考になさってください。

この記事は女性専用アパート「プリマ」HPのブログから転載させていただきました。
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記事を書いた人:石川 龍明

「横濵快適住環境研究所」代表、不動産活用コンサルタント。賃貸経営で一番問題となる『空室対策』のプロフェッショナルとして、多くの地主・家主・資産家様の悩みや問題点を解決。全国でセミナーを開催するほか、リノベーションブランド『DRAGON VINTAGE』などのプロデュースを手がける。ニックネーム 龍(りゅう)さん。http://www.shin-chintai.com