賃貸経営で大切なコンセプト:ライフタイムバリューとその活用法

賃貸経営において、入居者との長期的な信頼関係を築くことが重要な要素となっています。その中で、特に注目されるのが「ライフタイムバリュー」というコンセプトです。ライフタイムバリューとは、入居者の顧客生涯価値を意味し、簡単に言えば、入居者が物件にとってどれだけの経済的価値をもたらすかを計算する指標です。

この記事では、ライフタイムバリューの考え方を理解するために、美容院経営を例に挙げて解説します。一回当たりの支払額や滞在回数、そして滞在期間を考慮することで、入居者の長期的な付加価値を把握し、賃貸経営の持続的な成功を追求します。

ライフタイムバリューの考え方とは?

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今回のテーマは、「ライフタイムバリュー」です。

ライフタイムバリューを美容院経営で考えてみる

ライフタイムバリューというのは、顧客生涯価値のことです。

皆さんは賃貸アパート経営をされていますけれど、わかりやすくするために美容院経営を例にして説明しましょう。
明日から美容院を経営すると思ってください。そのときに、どんなことを考えるか、ということです。

まず客単価です。1回来てくれたお客さまはいくら払うのか。パーマをかけたり、カットしたり、髪を染めたり、いろいろあるんでしょうけれど、1人当たり平均5,000円としましょう。
次に、1人のお客さまは1年間に何回来てくれるのか。だいたい2ヶ月に1回、年間6回です。そして継続的に来てくれる平均は2年間。これは、経営する期間が長いほど、より平均的なデータが出てきます。

基本は、客単価×回数×継続年数

このケースだと、1人当たり1回払ってくれるのが5,000円。そして年間6回来てくれます。それが2年続きます。つまり5,000円×6×2で6万円になります。
これがライフタイムバリューです。
そして、こういう人を何人集めるかが集客です。それによって、設備投資をしたり、従業員の人数を増やしたり、という形になる。これが美容院経営ですね。

実はどんな商売でも、この考え方なのです。
1人のお客さんがいくら払ってくれて、1年に何回来てくれるのか。それが何年続くのか。
これがライフタイムバリュー、LTVの基本です。

賃貸経営のLTVは、家賃×滞在率

では、賃貸経営で考えてみましょう。

賃貸のライフタイムバリュー物件力です。物件力というのは、以前お話ししたリーシング力、家賃×滞在率ですね。

8割くらいの入居者データを取っていくと、自分の物件に対して、その人がどんなイメージを持っているのかがわかります。
「高くても気に入った物件に住みたい」
そう思ってくれているのであれば、その気に入った点を求めている人を把握して、その人に探してもらえるような情報発信をしていけば、周りの家賃の1.1倍か1.2倍の創造家賃になります。

あとは滞在率、入居期間ですね。何年住んでくれるのか。それもデータをとればわかります。

キーポイントはセグメントとニーズ

次に入居者心理です。

ライフタイムバリューを考える上で大事なのは、セグメントとニーズ。つまり、誰が、何を求めているかということです。
賃貸物件の立地条件や構造、部屋の間取りなどへのニーズは、学生なのか社会人なのか、性別、職業、趣味などによって大きく変わってきます。

たとえば学生さん。近隣にコンビニエンスストアーは必須です。
そして、男性ならファーストフード店。牛丼屋、マクドナルド、立ち食いそば店などがあるといいですね。
女性であれば、100円ショップ。たとえばコスメティックは結構お金がかかりますが、まだ学生ですから、そんなにお金はかけられません。でも、ちょっとしたお化粧や美容の道具を買うのなら、今は100円ショップでも十分です。その他にも、キッチン用品など細々した商品が揃っているので、近くにあると喜ばれます。

どんな人が、何を求めているかを分析する

社会人の男性なら日帰り温泉。サウナーが多いからです。お医者さんが書いた健康になるサウナの入り方なんていう本がベストセラーになっています。健康にもいいので、大流行しているのです。ですから普通の銭湯にサウナが付いているような施設でも喜ばれるようです。

一方、社会人の女性になると、自分の生活を楽しみたいということで、スポーツジム、マッサージやエステなどができるリラクゼーション施設。あとは整形外科や耳鼻科、眼科といったクリニックが近いこともポイントになるようです。

新婚さんの場合は、駅から遠くても、公園とショッピングモールからは近いこと。
車を持っていることが多いからです。また、いずれお子さんを産む方は、総合病院や産婦人科がそばにあると喜ばれるという話です。

ニッチなセグメントはニーズが明確

その他にも、楽器愛好家やペット愛好家というセグメントもあります。
狭いけれど強いニーズがある方々は、それぞれの要望がかなう環境であれば創造家賃になります。また一般的なアパートならトラブルになることでも、同じ趣向の持ち主なので、許し合えるというメリットもあります。

ターゲットは誰で、その人がどんなことを望んでいるのか。
賃貸経営では、それを考えることが非常に大事なのです。

今回は「ライフタイムバリュー」について解説しました。セグメントとニーズを常に念頭に置いて、リーシング力を向上してください。

この記事は女性専用アパート「プリマ」HPのブログから転載させていただきました。
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