新型コロナウイルスの影響は、私たちの生活に大きな変革をもたらしました。その中でも、賃貸市場は大きな挑戦に立ち向かわなければならない局面に立たされました。テレワークの普及や外出自粛によって、住環境へのニーズは大きく変わり、アパート経営者にとっても新たな課題が浮上してきました。
本記事では、コロナ後の賃貸市場の動向と解決策について深堀しています。アパート経営をする上での参考にしていただければ幸いです。
アパートを長持ちさせるには、どうすればいい?
賃貸経営コンサルティング・石川龍明先生が教える、満室経営の成功のカギ。大人気セミナーのすぐに経営に活かせる実践的な内容を、テーマごとにブログ&動画で伝授します。
今回のテーマは「長期修繕計画」。外壁関係、内装関係、設備関係について、お話しします。
外壁の修理は12年サイクルを基本に
まず、外壁。最も傷んでしまうのが経年劣化の激しいコーキングです。
コーキングの補修には足場が必要なので、ついでに外壁塗装や防水塗装をし直すことが多いですね。
これがだいたい12年に1回くらいのサイクルです。早いと8年から10年くらいのケースもあります。
ちなみにプリマのアパートは、1階部分から2階部分の半分くらいまでがレンガになっているので、外壁修繕のサイクルは15年以上でも大丈夫です。
ただ、やはり50年持たせようと思ったら、12年サイクル。12年、24年、36年で、外壁修繕を行いましょう。
入居者の住まい方で変わる内装修繕
内装に関して、これは住み方が非常に影響します。
入居者様がきれいに住んでくれるか、そうでないかによって、大きく変わることを覚えておいてください。
クロスや床の張り替えは、早いと7年目ぐらいですが、たいてい10年目くらいで張り替えることになります。費用に関しては、ここのところコロナになってから単価が上がっていますが、期間を重視して考えてください。
設備関係の修繕計画は業者に確認
設備関係は、給湯器、風呂釜やユニットバス、クーラーなどがあり、それぞれ違ってきます。
例えばクーラーなら10年くらいはもつと思いますが、設備に関して自分のアパートがどのくらいで変えたらいいのか、これは業者の人に聞いてください。
変な話ですけれど、営業マンは契約を取るのはすごく頑張りますが、契約が決まると熱が下がってしまう。この落差が多ければ多いほど現場に入って、「そんなこと聞いてない」とか、「この仕様は違うんじゃないか」ということが起こってくるのです。ですから、そこはしっかり把握しなければいけません。
とくにアパートの長期修繕計画は、契約前に出しておいてもらった方がいいです。この建物だと長期修繕計画はどうなるのかを、きちんと確認してください。
一般的な建物とプリマのアパートを比較すると……
これはプリマでアパートを建てていただいたお客様に、ご希望があれば出しているものです。左が一般の建物で、右がプリマです。
項目は屋根の補修、外壁の補修、バルコニーや解放廊下・階段の修繕、鉄扉塗装、給水ポンプの取り替え、給湯器の交換、エアコンの交換、室内・水周りの交換です。
材質や構造によってはメンテナンスフリーも
屋根防水の補修は一般的に12年から16年。プリマはコロニアルという素材を使っていることが多いので12年から18年です。
次に外壁補修。これは早いと8年ということもありますが、たいてい10年から15年くらい。サイディングのコーキング、モールディング補修、吹き付け塗装になります。プリマの外壁は1階の上くらいまでレンガになっていますので、高圧洗浄すればいいだけです。
バルコニーや開放廊下は風雨にさらされるため防水が絡んでくるので大変なのですが、一般のアパートだと10年から15年くらいに1回は補修が必要です。
プリマのアパートは、バルコニーがなく階段も廊下も建物の内部ですので、これらの防水補修工事は不要です。つまりメンテナンスフリーということになります。
ヨーロッパの建物が100年200年と長持ちするのは、ベランダがないからです。なぜかというと、水の侵入によって構造体が腐ってしまうから。プリマも同じ理由でバルコニーを作っていませんが、それでも困るという声はありません。これも絞り込みだと思いますが、そもそもバルコニーがないと嫌だとか困るという人は入居しません。ですからプリマは260棟2800世帯の入居者様からクレームは一切、出ていないのです。
給水ポンプの取り替えは12年から18年くらい、給湯器の交換は使う頻度によって変わりますが10年から15年くらい、エアコンの交換も10年から15年くらいのサイクルになります。
そして室内の水回り。キッチンやバス・トイレを変えるのは20年から25年くらいと考えてください。
建物を健全に維持するために、長期的な修繕計画を
今回は、長期修繕計画についてお話ししました。ご説明したのは代表的な部分にすぎません。また時期はおおよその目安ですが、こういったことが事業計画に反映されていますか。賃貸経営を継続するには、入居者様に気持ち良く長く住んでもらうことは重要です。そのためには建物を長くきれいに保つ、長期的な修繕計画が欠かせません。
今回の話を参考に、もう1度見直してみてください。
この記事は女性専用アパート「プリマ」HPのブログから転載させていただきました。
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記事を書いた人:石川 龍明
「横濵快適住環境研究所」代表、不動産活用コンサルタント。賃貸経営で一番問題となる『空室対策』のプロフェッショナルとして、多くの地主・家主・資産家様の悩みや問題点を解決。全国でセミナーを開催するほか、リノベーションブランド『DRAGON VINTAGE』などのプロデュースを手がける。ニックネーム 龍(りゅう)さん。http://www.shin-chintai.com